2023年のにセブンアンドアイがそごう・西武を売却してから、GMSのイトーヨーカドーをどんどん閉店しており、それが何故なのかと、私の所感を書いておこうと思います。
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西武百貨店の売却
一言で言ってしまえば、業態としてはもうすでに数年前からオワコン化していました。
それに加えて、場所が場所なだけに土地代だけでもかなり固定費が高い状態でもありました。
それに見合う収益が取れているのかというと、コロナ渦ということもあり、赤字体質でした。
インバウンド需要で今後回復していくという見込みもないわけではなかったのですが、インバウンドに対応できるだけでの、専門性の高い商品であったり、ノウハウもない、これから構築していくには時間がかかりすぎるということもあり。売却を選んだものと思われます。
高コスト低収益という形ができてしまっていたので売却は英断といえます。
なぜ、海外のファンドを挟んだ?
結局、ヨドバシグループに売ることになったんだけど、間に海外のファンドを経由してからになっています。これはどういうことなのか、私なりに考えてみました。
考えられるひとつは、セブンアイはそごう・西部に貸付金を放棄するほど、早めに切り離したかったということから、一刻でも早く切り離したかったと考えられます。となると、直接ヨドバシやほかの買い手候補とやり取りしていてはスピードが間に合わないと判断した可能性があります。金額が億単位ではありますが、もともと利益をしっかりと残す経営風土の企業ですから、損切急いでいたと考えられます。
二つ目は、【物言う株主】に、急がされており売却だけでも進めたかった可能性もあります。
三つ目はストライキが原因の可能性もあります。
ストライキはあまり日本では行われませんが、長期化した場合事業が存続する可能性もあったため、そうなってしまっては売却自体が今後半永久的にできないと考え、予定を変更して、損をしててでも、売却を進めたと考えられます。
イトーヨーカドーの相次ぐ閉店
イトーヨーカドーも閉店ラッシュですが、別に閉店自体はそんな後ろ向きなことではありません。むしろ、店舗をつくるより、閉店するほうが大変なので、よりしんどい道を現在突き進んでいると思われます。これからの既存の企業は選択と集中をよぎなくされます。
古いものを捨てないと、新しいことに集中できません。この閉店という選択は大いに意味があり、最初でかつ、もっとも大きな一歩で、最も大きな効果があると言えます。
そもそも、日本でトップの経営者がやっていることに対して経営の意見いえるのなんて、別の国の小売りのトップぐらいなもんじゃないかな?
それに、明るい話題よりも、暗い話題のほうがみんな食いつきいいので、記事も暗いものにしますよね。私もそういう節ありますし。
イトーヨーカドー衣料品完全撤退
こちらも、わかっていない人からすると後ろ向きととらわれがちですが、衣料品なんてGMSの中ではお荷物以外なんでもありません。
ファーストリテイリングをはじめとする、カテゴリーキラーが多い業界であり、新規の参入も非常に多く、またブランドも乱立しており、販路もネット販売という新たな物が出てきているなかで、生き残るにはさすがに難しい時代になってきました。
勝ち筋がみえてこない業態をいつまでも残し続けるのは経営的には愚の骨頂です。
これまでヨーカドーは何度か衣料品に対してはアクションを起こしており、商品だけではなく、売場でも工夫がされていたのですが、それでも無理だったので、やることはやりつくしての撤退とも言えます。
さっきも言ったけど、割り切って捨てて別の業態に注力するっていうことをしているから
そこらへんは割り切っていると思うよ。
実際にライフでも衣料品の取り扱いはありますが、ほぼあってないようなものです。
衣料品に力を入れず食品に8割以上の力を注いでいるライフは、毎年増収増益と確実に成果を上げています。
まず一つはPBの拡販。こちらは食品がメインですが、物価高でPBが売れるという状況だったという話なんだろうけど、売場をみてもらったらわかるように、PBしかないっていう状態に近いと思われます。
意図的にPB商品を広げて売り込んでいるから売れているだけで、お客さんが買うのを誘導されているだけで、実際はそこまで売れているというわけではないと個人的に思っています。
実際に2022年には37億円の赤字だったからね。
それが今回36億円の黒字になっているから改善といえるね。
例えばリベートってあるよね?あれってどういうイメージある?
また、この衣料品の利益改善の裏側にあるのは、在庫の削減にあります。
衣料品だけで1678億円持っていた在庫を、1138億円まで削減して得た利益です。
これすなわちどういうことかというと、余分な在庫を減らしたといえば聞こえがいいですが、経営を縮小して利益をだすサイクルに切り替えたということです。
多かった在庫を減らしました、利益がでましたという構造はとても素晴らしいことではあるのですが、大企業がいまさらすることではありません。また、今年一年を通してイオンから衣料品のブランドの乱立が起きています。ブランドを乱立をして、イオン臭さを払拭して、再建をというつもりでしょうが、置いてある商品が価格以外にメリットがありません。それだとファーストリテイリングにやられてしまう未来になるので、やはりヨーカドーの完全撤退が正解だと思います。
イトーヨーカドーの閉店について
さて、北海道や東北をはじめとする地方都市でのヨーカドーの閉店が続いていますが、
上記で述べたように閉店自体は問題ではなく、どこに集中するのかが問題となってきます。
首都圏の店舗は残したところをみると、より首都に集中した形になっていくと思います。
でも、新しいフォーマットができれば全国展開する可能性はあるよ。
どんな店ができる?
おそらく小商圏とローコストを徹底した食品を中心としたフォーマットになると思います。
建物も居ぬきで入れる形にしないと意味がないので、コンビニ拡張バージョンといったところでしょうか。
イメージ的にはスーパーより小さくコンビニよりは大きいというお店です。
もともとセブンイレブンという日本一のコンビニをもっていますので、物流問題としては、センターがあるので、問題はないでしょう。
商品開発力は、こちらもメーカー泣かせと言われていますが、一級品を作る力はあるので、セブンイレブンの開発チームがいれば問題ないでしょうが、ヨーカドーの開発チームは残念ながら必要ないので、チームとしてのすみわけをしてもらいたいものです。
建物に関して居ぬきで入れるフォーマットにしないとそもそも意味がありませんので、空きテナントを探せば大体は解決するでしょう。
ただ、小型フォーマットは出店の勢いがあるのに対して、従業員のレベルが追い付かないことがあります。
この場合、ローコストの肝である人件費をどれだけ削れる形にするかがポイントになります。接客という大きな課題さえクリアできれば、完成といえます。
生鮮の扱いは小型店舗の大きな課題となります。おそらく私の見立てではウエルシアのような薬局は生鮮の取り扱いをやめる可能性があります。薬局はもともと客寄せでゴミみたいな生鮮を並べていましたが、スーパーという業態ではゴミを並べるわけにはいきません。
ですが、まいばすけっともローソンも生鮮が得意とは言えない状態なので、スーパーと同じレベルで生鮮を扱うとなると、クリアしないといけない課題は多く、簡単なことではありませんが、選択と集中を行っている企業なら実現できる可能性があります。