各市町村では、発達障害の子供たちのために、療育手帳という、サポート制度が提供されています。
今回は、療育手帳についての基本情報や利用のメリットに焦点を当て、理解を深めていきましょう。
大阪市メインで話を進めますが、みなさんの自治体でも通用するところも多い話なので、ぜひ最後まで読んでみてください。
Contents
療育手帳とは?
療育手帳は、発達の遅れや発達障害、身体の障害などでお悩みのお子さまやそのご家族に対して、専門的な支援を提供する時に必要な手帳です。
子どもたちが安心して学び、成長できるよう、個別のニーズに合わせた支援を提供しています。
市町村によって、療育手帳を持っていると受けられるサービスが異なります。
私も、息子が自閉症なのですが、取得したのは愛知県でした。愛知県には取得して半年も住んでいないのですが、動物円が無料で入場できたりと、色々なサービスを受けることができました。
もちろん、みなさんの住んでいる市でも色々なサービスを受けることができます。
療育手帳のメリット
療育手帳を取得した時のメリットはざっくり下記の通りです
個別のニーズへの適した支援
療育手帳は、個々の特性やニーズを明確に記載し、それに基づいた個別の支援を提供するための情報源となります。早めに取得しておくことで、色々な支援を受けることができます。
教育機関との連携
療育手帳には医師や専門家の意見が含まれており、これによって学校や教育機関との円滑な連携が可能となり、適切な教育環境が整います。
受給者証でも受けられるサービスがあるのですが、どこかのタイミングで療育手帳を取得しておかないと受けることができない、通所できないなどあります。
特別なケアへのアクセス
療育手帳を持つことで、特別な医療やケアが必要な場合に、それらのサービスへアクセスしやすくなります。
総合病院や、一部クリニックなどでは手帳があるかないかで、順番を早めてくれるところがあったりまします。
就労支援
成人になると、療育手帳は職場での適切なサポートを受けるための基準となり、就労支援が効果的に提供されます。障害の重さで就労支援AなのかBなのかの判断も行われます。
就労支援についてはこちらの記事を読んでください。
福祉制度の利用
療育手帳は、福祉制度の利用資格の判断材料としても活用され、様々なサービスや給付金の受給が可能です。
特別児童扶養手当や障害児福祉手当など、色々な給付金などもあります。
特別児童扶養手当は比較的受けやすい給付金ですが、障碍児福祉手当は給付までのハードルが療育手帳があっても受給できるかどうか難しい給付金です。
障害児福祉手当については、こちらの記事を参考にしてみてください。
心のサポート
療育手帳は、本人や家族にとっても精神的に楽になります。
簡単にいうと、社会参加のハードルを下げてくれます。
例えば、自閉症の子などは周りとの協調が難しいのですが、手帳がなければ、親の教育が悪いとか、本人に問題があると言われがちですが、手帳があれば、それを個性として扱ってくれます。
気持ち的な話ですけど、我が子が障害児というのをこの手帳を貰った時に、改めて「あ〜、そうなんだなぁ」って思いました。
法的な裏づけ
先ほどの心のサポートと少しつながるのですが、学校というのはお役所であるということから、「うちの子は自閉症なんです、だからサポートしてください」といったところで、それに対応はしてくれません。
なぜなら、もし確固たる証拠がない状態でそれを受け入れていると、親が我が子を優遇するように言ったもん勝ちになってしまうからです。
学校は療育手帳に基づいて、児童・生徒が最適な学習環境で教育を受ける権利を保障しなければなりません。療育手帳がない場合、十分なサポートを受けることが難しくなる可能性があります。
同じく福祉的な側面からみても、療育手帳は、社会的な権利の法的裏づけとしても機能します。
手帳を持つことで特定の障がい者向けの福祉サービスや給付金の利用が可能になりますし、障がい者自身やその家族が手帳を提出することで、福祉機関は手帳に基づいて必要なサポートや経済的な援助を提供する法的責任が発生します。これにより、社会的な包摂が促進され、療育手帳を持つ人々が適切な支援を受けながら社会参加を実現できるようになります。
どんなにその子が福祉が必要な状態でも、手帳がなければ受けることができない。そういう側面を持っているのが、療育手帳です。
療育手帳はカスタマイズ可能
療育手帳は個々の状況に応じて療育手帳はカスタマイズ可能であり、変更が必要な場合に柔軟に対応できます。
例えば、手帳に明記された特定の学習障害に基づいて、個別支援計画(IEP)を策定することがあります。これにより、学校は特定の科目やスキルに焦点を当て、適切な補助教材やサポート教室の提供などを通じて、学校は手帳持ちの生徒に対して最大限に学びやすい環境を準備することができます。
療育手帳は障がいや疾患に関する詳細な情報を含むため、医療や療育の進捗管理に活用されます。例えば、手帳には治療計画や特定のスキルの向上状況が記載され、これに基づいて定期的な評価が行われます。
これにより、医療専門家や療育担当者は個々の状況に合わせた最適な介入や治療プランを調整し、効果的なケアを提供できます。手帳の更新や修正は継続的な改善を可能にし、本人や関係者との連携を強化します。
療育手帳のデメリット
一般的には療育手帳にデメリットらしいデメリットは存在しませんが、ここでは敢えて、絞り出して書くならという点でいくつか紹介してみます。
プライバシーの懸念
療育手帳には個人の健康情報や特性が詳細に記載されています。これが不正にアクセスされると、プライバシーが侵害されるリスクがあります。また、他者に手帳を見られることで本人や家族が不快な思いをする可能性があります。
偏見や差別のリスク
療育手帳が存在することで、持ち主が障がいを抱えていることが明らかになり、社会的な差別や偏見を招く可能性があります。
これは特に、一部の人々が障がい者に対して理解が不足している状況下で起こりやすいです。
昔と比べれば、障がいに対する理解というのは格段に良くなってきましたが、それでもまだ田舎のほうであったり、都心や大阪市でも理解はまだまだ足りていないのが現状です。
でも、私はだからこそ、自分の息子と同じような環境下にある子を助けるという意味でも、手帳を持ち、まわりにサポートしてもらう環境を自分たちで作っていくというのも、ある意味では障害を持つこの親としての使命的な側面があるのかなと思っています。
手続きの煩雑さと時間のかかり具合
これも、あえて挙げるならでいうなら、手続きの煩雑性です。
療育手帳の取得や更新には手続きが伴います。医師の診断や意見書の取得、行政手続きのため、手帳を取得するまでに時間とエネルギーを費やす必要があります。これは、支援が急を要する場合には適切なサービスを迅速に受けることが難しくなる可能性があります。
これに関しては、対策は一つで、【可能な限り早く取得する】以外にありません。
過度なラベリングの可能性
療育手帳の情報は特定の障がいや疾患に焦点を当てているため、これが過度に強調されることで、本人がその特性だけで評価される可能性があり、その結果として過度なラベリングが生じることがあります。
それ故、本来は個性の一つのはずが、そのラベリングがその人のすべてになってしまう時もあるとおもいます。
ですが、そのラベリングのデメリットと受けられるメリットと比べれば明らかにメリットのほうが大きいですし、そのラベリングは手帳を持っていなくても貼られてしまうかもしれませんし、もしかしたら持っていないことで、本来貼られなくていいラベリングまでされてしまうかもしれません。
そういう意味でも、療育手帳は持つべきだと言えます。
個別療育センターでの支援
各自治体、私の住んでいる大阪市内にも専門の講師陣が揃った個別療育センターが点在しています。ここでは、子どもたちはその発達ニーズに合わせたプログラムを提供され、安心して成長を促すことができます。
自治体によってサービスは様々ですし、充実しているところとそうでないところと結構さがありますので、これから紹介するセンターを自分の住んでいる所で探してみてください。
仕事の都合がつくのであれば、引っ越しも視野に入れたほうがいいものばかりです。
発達支援教室の参加
発達に課題のある子どもたちが専門の教育者と共に学び、遊ぶ場を提供する発達支援教室です。
コミュニケーション能力や社会性の向上を目指し、楽しみながら成長できます。
様々な子がいるので、就学前に行くのがおすすめです。障害の程度の詳しく話せば色々と相談に乗ってくれるプロの集団ですので、不安に思うことは色々と相談してみましょう。
https://copelplus.copel.co.jp/
専門的なカウンセリングサービス
療育手帳を持つ子どもたちとその家族は、専門の心理士やカウンセラーによるカウンセリングサービスを受けることができます。例えば大阪市なら平野区にある、はーとふるぷらざのような場所です。で受けることができます。
はーとふるぷらざでは実際に療育手帳に関する発達に関連する悩みや不安に寄り添いながら、適切なサポートを得ることができます。
療育手帳の更新もここで行いますが、住んでいる場所から一番近い場所を案内されると思いますので、実際に療育手帳を更新に行くときには市区町村の案内に沿うようにしてください。
音楽療法やアートセラピー
発達に課題のある子どもたちが音楽やアートを通じて感情表現やコミュニケーションスキルを向上させるプログラムが提供されています。これらのアートセラピストによるセッションは、子どもたちにとって楽しさと成長の場となります。
こちらのサイトで検索する事ができますので、登録だけでもしておくのがおすすめです。
言語療法の利用
言語発達に課題のある子どもたちは、専門の言語療法士によるサービスを受けることができます。コミュニケーションの向上や語彙力の拡充を目指して、個別のサポートが提供されます。
自立支援トレーニング
自立した生活を送るためのスキルを身につけるトレーニングがあります。生活スキルや社会生活への適応を目指し、子どもたちは自分のペースで成長することができます。
発達障害専門の塾や教室
発達に特化した学習塾や教室では、個別の発達段階に合わせた教育プログラムが提供されます。これにより、子どもたちは学びのプロセスを楽しんで進めることができます。
自閉症専門の支援センター
自閉症スペクトラム障害に焦点を当てた支援センターでは、専門のアドバイスやトレーニングが提供されます。実際にトレーニングをそこで行うというわけではなく、情報の提供がメインだと思っておいてください。
大阪市でいえば三つありまして
私も自閉症の子の親ですが、周りに自閉症の子がいるかどうかと訊かれると全然いないので、ネットで情報を探すばかりですが、実際に同じ悩みを持っている親と知り合えるというのは結構貴重なので、そういう機会が欲しいという人はサイトを覗いてみるだけでもいいので、見てみてください。
療育手帳をもらわないと特別児童扶養手当は難しい
特別児童扶養手当はいくらもらえる?
では、いくらもらえるのという話になるのですが、金額はシンプルに
障がい等級 |
1 級 |
2 級 |
手当の月額 |
53,700円 |
35,760円 |
大阪では、こんな感じとなります。
この金額は非課税なので、もらった後に税金などは一切かかりません。
1級のほうが勿論、障がいの程度としては重たいものになります。
実際に毎月支給されるのではなく、年に3回まとまって支給されます。
特別児童扶養手当の所得制限
もちろん、所得制限はあります。
扶養人数と赤字で書いたほうの数字をよく見てください。
扶養人数 | 所得額(請求者) | 所得額(配偶者及び扶養義務者) |
0 | 4,596,000円 | 6,287,000円 |
1 | 4,976,000円 | 6,536,000円 |
2 | 5,356,000円 | 6,749,000円 |
3 | 5,736,000円 | 6,962,000円 |
4 | 6,116,000円 | 7,175,000円 |
5 | 6,496,000円 | 7,388,000円 |
請求者というのは療育手帳を持っている人間です。障がい者の人でここまで稼げているなら、特別児童扶養手当はもらえません。
そして、何度も言いますが、気にしないといけないのは赤字で書いた所得の金額です。
所得額(配偶者及び扶養義務者)ですが、配偶者とは請求者の配偶者ですので、療育手帳をもらっている、かつ結婚しているという人、または、18歳未満で親の扶養に入っている。
この記事を読んでいる多くの人は親だと思いますので、この配偶者及び扶養義務者というほうを見てもらえればいいと思います。
扶養人数は自分の子供だけじゃなく、親、兄弟、配偶者も含んだ人数です。
とはいえ、所得制限はかなり上のほうで設定されていますので、給与所得の方はそこまで心配する必要ありません。
逆に自営業の方は、所得が上にも下にも安定しないため、ある年だけ所得が跳ね上がったということもあり得ますので、注意が必要です。
よく勘違いされる方がいるのですが、年収ではありません。
所得(手元に残っているお金)です。
自営業の方は問題ありませんが、よくサラリーマンや給与所得の方は勘違いされるのですが、所得とはいいかえれば、一年間の手取り金額です。
扶養人数1人でも6,536,000円あるということは年収で800万はある計算になります。
なので、一般の人はそこまで気にしなくても大丈夫ですが、800万越えの人は扶養人数と照らし合わせておくのが無難です。
1級になると結構大きい金額なので、児童手当と合わせると月6万円近くもらえます。
年間72万円を非課税でもらえるのは結構大きいので、必ず、療育手帳をもらっておいたほうがお得です。
同じく、障がい児福祉手当も、非課税です。
ですが、こちらは特別児童扶養手当と違って、手帳を持っていたら、簡単にもらえるというものではありませんので、こちらの記事を読んで認定に向けて進めていってください。
大阪で療育手帳を持っていたら受けられる割引
大阪府において療育手帳を持っていると、割引や特典が提供される場合があります。
ただし、特典が提供されるかどうか、具体的な割引内容は施設や事業所によって異なるため、最新の情報を確認するようにしてください。
一般的な例として考えられるサービスや割引の一覧です。これらを利用する時は一度、行先で療育手帳を提示すれば割引があるかどうかを確認してから行くようにするとお得になります。
交通機関割引:
-
- 公共交通機関での割引や優待(例:電車、バス)
- 駐車料金の優遇
- レジャーサービス割引:
- 博物館、美術館、動物園などの入場料割引
- レジャーパークやテーマパークの割引入場料
- 文化・教育施設割引:
- 講座やワークショップの割引
- イベントや公演の割引入場料
- 医療関連サービス割引:
- 療養費や医療サービスの割引
- 飲食店・カフェ割引:
- 特定の飲食店やカフェでの割引
- スポーツ施設割引:
- スポーツ施設での利用料金割引
- ショッピング割引:
- 特定の商品やサービスの割引
あくまで一般的な例であり、提供されるサービスや割引がどれも一律でないことに注意が必要です。療育手帳を持っている場合に利用できる特典については、地元の自治体や関連機関、各施設の公式ウェブサイトなどで最新の情報を確認することをお勧めします。
大阪にお住まいの方も、大阪以外にお住まいの方も便利に調べられるサイトはこちら
https://shogaisha-techo.com/
上記にも書きましたが、対象の施設やセンターのホームページや、電話で事前に確認を取っておいたほうがいいです。
まとめ
療育手帳はデメリットよりもメリットのほうが大きい
療育手帳がないと、受けられないサービスが山のようにある
特別児童扶養手当、障害児福祉手当は療育手帳がないと、ほぼ給付されない
民間サービスで割引が適用される