早い話が財産管理です。
委託者、受益者、受託者とは
もし、あなたが自閉症の親だったとします。そして信頼できる姪がいたとしましょう。
この場合、あなたは自閉症の子にお金を1000万円残すことができたとします。
つまり、ここでは貴方が委託者となります。(財産の所有者)
そして、託す相手が姪なので、姪が受託者となります。(財産の管理をしてくれる人)
当然最後の自閉症が受益者となるわけです。(財産を受け取る人、権利を持っている人
家族信託(福祉型信託)のメリットは?
知的障害者だと、お金を一気に使ってしまったり、誰かにだまし取られたりしないために、生活に必要な金額を一定額毎月渡す等の方法をとることができます。
後見人制度とくらべて割と柔軟な対応ができるという点もメリットです。
後見人制度は法的なしがらみが強いので、財産を守るということには特化したタイプの制度なのですが、投資したり増やしたりという柔軟性にはかける制度ですが、家族信託(福祉型信託)ならそれが可能になります。
つまり、財産を増やすことが可能の手段もとれるということになります。
不動産等の管理でも有効です。
例えば子供が三人いて、親が遺産の整理をせずに亡くなった場合、土地の権利が三人に分配されますが、委託者一人に集中することが可能となります。たいてい土地はケンカの素になるので、土地を持っている人は将来的なことを考えてこの制度を利用するのは視野に入れておいた方がいいでしょう。
親が亡くなったとにも子供の事は気がかりだと思いますので、信頼できる親族がいれば、託すのも手だと思います。
障害児がいなくても将来自分が認知症になったりする可能性もあります。
残った財産を引き下ろせなくなる前に早めに信頼できる人がいるなら受託者と専門家に相談し契約を結ぶのは非常に将来に向けた準備になると思います。
家族信託のデメリット
家族信託のデメリットは数点ありますが、個人的に一番面倒だなと思うのは、税金の申告です。
節税の効果はもちろんないので、必要書類を求められたり、収益が3万円以上発生したら申告の必要があったりと、契約に拘束されることが増えるため受託者には負担がかかります。
ですので、受託者を探し出したとしても、受けてくれない可能性も非常に高いです。
一番の大きな問題は、遺留分侵害額請求をされる可能性があるということです。
分かりやすく言えば、いくら委託しても遺族がもらえる権利が消えたわけじゃないので、
その人たちが請求してくる可能性があるということです。
これに関しては早めに、家族内で話あっておく必要がありますが、いくら話し合ってもちゃぶ台はひっくり返される可能性があるので、難しい問題です。
また、家族信託(福祉型信託)自体が裁量こそ広いものではありますが、万能ではありません。
例えば、土地の権利に関しても、畑や田んぼは駄目という条件が付いていたりします。
どちらにしても受託者に負担がかかるため、気軽にお願いできるものではないのですが、兄弟児などがいる場合は、兄弟に託すのか、それもと別の親族に託すのかは慎重に考えていかなければなりません。