イオンリテールが3月に賃金アップに踏み切りましたが、金額を訊いてみると、時給換算で45円アップといったところです。
このニュースに関しては、以前勤めていた私からすると、よかったね程度なのですが、
実際のところはパートさんの賃金は全員あがるわけではありません。
社員と同様の仕事ができる人のみ時給ということです。
そのニュースがこちら
https://www.asahi.com/articles/ASR3G733VR3FOLZU001.html
このニュースの内容は、コミュニティ社員と言われる一部のパートの人たち
が正社員と同じ扱いになるということです。
問題点を言う前に
まず、イオンリテールの社員の大きな区分と資格から説明しましょう
その点はご了承ください。
個人の感想であるという事をお忘れなく読んでください。
私が勤めていたのは数年前なので、資格制度や給与体系に一部変更がある可能性もご了承ください。
Contents
イオンリテールは完全資格制で給料がきまる
普通の会社であれば、ある程度年功序列や、年数を重ねると給料がジワジワあがっていくものですが、イオンリテールの場合はそれがありません。
資格制度で給料が変動していく決まりになっています。
資格制度は筆記試験と面接試験の2つから構成されており、そこに普段の人事考課ポイントが乗る形になります。
なので、上司に嫌われたら、人事考課ポイントは貰えません。運ゲーじゃね?って思うでしょ?
それも含めて実力社会なので、ゴマすりは社会人の必須スキルということですね。
ちなみに面接対策はこちらで紹介しています
イオンってホワイト企業だからお給料多いんでしょ?って思いますよね。
小売業なかでは貰ってる方ですけど、実際のところを言えば、中小企業の製造業と同じくらいでしょうか。福利厚生とかも基本割引のものしかありません。
さて、話を戻します。
私がいたころの制度の話になりますが、
G1→G2→G3→G4→G5-1→G5-2→S1→S2
と上がっていきます。
G1やG2までは新卒並みの給料しかもらえません。
G3からようやく家族二人を養えるかどうかの給料になり、
G4から家族四人を養えるかどうかの給料です。
G5とG4は月の給料にさほほど大きな違いはありませんが、ボーナス金額がG5の方が多くなりますが、G5で管理職になると固定残業という形になり、G4の30時間ほどの残業代が固定でつくような金額が基本給となります。
しかし、それ以上に特権としては好きなだけ働くことができるのが利点と言えます。
ちなみにG5になれば給料面での心配はほぼなくなります。
G5に1と2があるのは店格でかわります。イオンピープルではない方にも、わかりやすく言うと、大きなイオンモールの店なら同じ課長でも給料に差があるという事です。
S職は年収で1000万円を超えます。
責任は重く、プライベートはあるようでないといった感じでしょうか。
仕事の裁量権はGからSに代わると広く、そして深くなる感じでした。
この職位から海外転勤の辞令がさらっと下りたりします。
ちなみに今回の改定ではSは何も変更なし(S職が決めた案なのであたりまえですが)
コミュニティ社員とG1~G4まではこうなります。
難易度予想 | 難易度
|
||
G5-2 | G5から固定残業。この資格から課長になりはじめる月の給料はG4の30時間の残業つけたぐらいの給料 | ||
G5 | G5にあがるには意味のない暗記が得意じゃないと難しい。また幕張まで面接にいかないといけないので関東が有利になりがち。 | ||
現状の最終ゴール地点難易度は不明 | CG4 | G4 | G3からG4は課長との相性もある。この資格からマネージャーをさせられる |
イオンの狙いはこの資格。ここを増やしたい | CG3 | G3 | G3にあがるには勉強がとりあえずできればいい。
勉強>仕事 に早く気が付いたものから合格する |
CG2はあまりいらないので、CG3になるのはハードル低め 欲しいのは食品をはじめとする不人気部門の売場責任者 |
CG2 | G2 | G2までは四則演算と暗記がある程度できれば合格できる |
CG2になるのが一番ハードルが高いと予想。社員雇用試験並みに高い可能性がある。 | C | G1 |
イオンは転勤の区分で給料がかわる
NとRとLという三つの区分になります。
N(National)は本州社員というくくりです(イオンリテールなら青森から~山口まで)
R(Regional)は地方社員(関東地方、近畿地方等)ただ、このRは転勤範囲が時々かわります。私がいた頃は近畿地方の括りと中四国の括りは別だったのですが、今は西日本というくくりで、近畿と中四国は同じエリアになっています。
つまり、R社員になると滋賀から山口まで転勤OK社員ということになります。
L(Local)は地域社員(家から通える社員)
家から1時間30分で通える距離となります。
区分の手当として
Nは満額。6万円近くの手当がつきます。
Rでは4万円ほど
Lは手当なしです。
ちなみに地域手当は住んでいる場所ではなく勤め先となります。
例えば住んでいるのが大阪ですが、勤め先が京都であると京都の地域手当をもらうようになります。
全国転勤OK社員のNとなって6万円の手当をもらうか、Lで手当なしにするか。
月収では72万円ボーナス込で考えると100万円近く年収に差が出てくる区分となります。
ちなみにこのNとLで昇進スピードも変わります。
女性でLは問題ないのですが、男性でLを選ぶともう出世はかなり厳しいと思います。
ちなみに家族で転勤するにしても、子供が中学生や高校生になると限界があるので、多くの人は単身赴任になります。
単身赴任手当は結構でますし、休暇も付くのですが、結局二重生活になります。
また、家賃補助もでますが、満額でるわけではなく、家賃の半額程度しかでません。
私は単身赴任をしたことはありませんが、多くの人がいうには収支はプラスマイナスゼロになるか、ちょっとマイナスかという話でした。
さて、今回はパートからこのL区分に近い形の社員にどんどん上げていくよというニュースでした。
ではなぜ、同一賃金同一労働をしないといけないかを説明します。
人手不足の解消をするための苦肉の策
人手不足という名目については非常にわかりやすい策だとは思います。
正社員の離職率が小売り全般は高いのが現状です。イオンも一昔前と比べると、副業もできない、年末年始も仕事しないといけないという、過酷な労働環境です。
ちなみに入社して上司に好かれなければ5年以内やめないと、後々取り返しがつかなくなります。
もちろん、挽回は可能です。10年たって一気に花開く人もいますが、若いうちの時間は貴重ですので、そんなに猶予なことは言っていられません。
上司ガチャに外れた子はやめていくのが現状でした。
そういった面からいま働いてくれているパートの人の賃金をあげて、正社員への道を作って雇用の継続を少しでも確保したいというのが一つの狙いだと思います。
新卒採用枠を減らす
推測ですが、新卒の採用枠の削減が見込まれます。
既存の社員やパートを雇用を守るために、新卒をとらない構図をとるのじゃないでしょうか?
それはそれで企業戦略としてありなのでしょうが、個人的には大企業でそれをすると歯車が狂い始めていくのではないかと思っています。
イトーヨーカドのように大量閉店の可能性もあるのではないかと思います。
私はイオン時代には人事にまったく係っていなかったのですが、今の会社で少し人事に係っているのでわかるのですが、新卒採用ってめちゃめちゃお金がかかります。
企業説明会、セミナー、面接の会場。思っている以上にお金がかかりますし、新卒を取ったらとったで教育にもお金がかかります。
でも、お金をかけても数年後辞められてしまうのでは、その分の経費がすべて無駄になります。
それならパートから選んだ方が最初の教育の手間省けてよくない?
会場とか抑えなくていいし、社員に変更になっても変更するの手続きだけだし、というのが本丸の狙いじゃないかと思っています。
ですが、新卒を一切とるのをやめるという事はないと思いますがかなり厳選していく可能性があります。
学歴や経歴重視になっていく可能性も否定できません。
新卒を取るのをやめないもう一つはの理由はイオンは渥美俊一の本を聖書のような扱いしているので、その中で
「大卒はいるで、マジでマジで」
みたいな感じで書いているので、当面は新卒は取ると思います。
実際に、パートあがりの人達だらけだと、現場はなんとか回るのですが、マクロ的な経営は苦手だったりします。
お勉強が得意な人が必要な部署は政治部と経理部、人事部など、お堅い部署です。
お勉強が得意な人がいてくれないと回らない部署ですね。
同一賃金同一労働にして発生する問題
そもそも原因が人手不足ですので、いまは仕事さえ選ばなければ正社員の仕事なんていくらでもあります。
そのなかで給料がいい仕事や条件のいい仕事を選んでいるなかで、イオンの正社員になったら何がつきまとうか整理してみましょう。
転勤(店舗異動)が発生する
まず一番の問題はおそらくこれです。
L区分の社員と同等になると、家から2時間ぐらいの範囲は通えるとみなされ店舗の異動が発生します。
東京の方は2時間くらいなんてことない、と思うかもしれませんが、これ田舎だと車とかの移動になるんですよね。車あればいいのですが、電車とかバスとかで移動をしないといけなくなるかもしれません。安い給料で。交通費は出ますが、ガソリン代だと赤字になる仕組みになっています。
となるとどうなるかというと、必然的に辞めますよね。
給料安いし。残るのは40過ぎた行き場のない人達だけです。
しかも、イオンリテールは制度が変わっていなければ副業は禁止のはずです。
それなら、バイト掛け持ちしたほうが気が楽ですし、もらえる所得は増えます。
バイトしながら副業でフードデリバリーをしている方が所得としては確実に増えます。
(個人事業主なので、経費も自己負担ですが)
田舎でフードデリバリーの需要がなかったとしても、別のアルバイト掛け持ちの方が確実に収入が増える計算になってしまいます。
ですが、正社員になると副業は禁止ですのでそれは承知してならないといけません。奴〇契約というつもりはありませんが、安い契約をするならよく考えたほうがいいと思います。
正社員になったら資格と給料はあがっていくのか?
正社員になったらG1からスタートだと思いますが、G2になるには筆記試験と面接をクリアする必要があります。G2までは難しい試験ではないのですが、暗記が苦手だとこの時点で詰みます。私の先輩で定年までG2になれなかった人もいます。
とはいえ、苦手な人でも一日5時間勉強し続ければ通るのがG2試験です。勉強量でカバーできるので、問題はありません。そういう意味ではG3になるのも勉強量を増やせばクリアは確実にできます。
G4から少し難易度があがります。中学の数学で躓いていた人は少し難しくなってきます。
またこのG4から上司の好き嫌いが入ってくるので、好かれた人はすぐ合格できますが、嫌われたら一生G4にはなれません。G3で定年を迎える人は全体の半分くらいいるんじゃないでしょうか?
私はG5だったので、G5になるには正直運ゲーです。筆記試験で大きな差はつかないので、評価点がすべての物をいうようになっています。
私は、業務実績がよく、若手を上にあげるというブームだったのでそれに乗っかっただけで、20台半場でG5で課長になれました。
でも、G5の世界は給料に見合ってないくらい過酷なものでした。
ちなみに、運よくG5まで上がったとしましょう。L社員なら額面で30万円ちょっとです。
これがNなら額面で45万ぐらいですかね?しかも、評価給といって、マックスの評価がされてこの金額です。激務で30万、手取りだと22万ぐらいでしょうか?
これを多いと捉えるか少ないと捉えるかにはなりそうですね。
これも、私の推測ですが、おそらくコミュニティ社員と正社員の区分はまったく同じにせずに、分けると思います。おそらく新しい区分を作るのじゃないかと想定しています。
といいますのも、もともと長時間雇用や時間給じゃない日給月給といった区分はあるのです。
それと一線引くとなると新しい区分を用意して制度を見直すんじゃないかと思います。
また、パート全員が同一労働同一賃金はおそらく望んでいないと思います。
実際現場で働けば分かりますが、可能なら責任無い立場で楽しく働きたいという人の方が多かったりします。マネージャーをしている人は、担当に戻りたかったり、課長をしている人はマネージャーに戻りたかったりといった感じです。
それに、転勤のような異動を避ける仕組みにするかどうかで今後また給料がまた上がったり下がったりするんじゃないかと思います。
社員になれば責任が付きまといます。
私の独り言ですが、もし、この制度で社員なる人がいるなら責任に押しつぶされそうになり、鬱になりそうなら、そうなる前に逃げるという事を忘れないようにしてください。
1番大事なのは自身の心と体です。
イオンに限りませんが、会社はあなたの事を守ってはくれません。
自分の身は自分で守るが大前提です。甘えた考えは捨てたほうが身のためです。
正社員なった時のメリット
ただ、まったくメリットがないわけでもなく、色々と正社員同様の福利厚生が受けられるようになります。
ちなみに、退職金の話も出ていましたが、退職金は企業型拠出年金なので、別にiDeCoとかわりません。あと、選べる投資先はあまりありません。
しかも、今は知りませんが、私がいたころは企業型拠出年金に入っているので、iDeCoには入れませんでした。
制度がかわるので2024年からは入れるようになると思いますが、従業員の福利厚生に対してあまり関心がある企業ではあるイメージはありません。
保険は団体割引がきくので、割と選べると思います。
もっとも、保険に入らない人や入る必要がない人にとってはあまり関係ありませんが・・・
ボーナスはLと同じになると思うので、寸志程度には出ると思います。
一番のメリットはローンが組みやすくなるという事です。
住宅ローンも金額によりますが、非常に組みやすくなります。
また、イオンの従業員ならローン契約時に少しお得な特典があります。
私がいたころは住宅ローンを固定で組むと少し割引があったような気がします。
また、イオンモバイルではイオンピープル特別プランという物もあるので、イオンの従業員の方でスマホをイオンモバイルにしない手はないというくらいお得なプランもあり、支払いをイオンクレジットにするだけで割引もかかり、ポイントもたまるので、従業員の方はイオンモバイルに乗り換えるのをおすすめします。
イオンの離職離れを防ぐには
イオンの離職率が高いのは給与の安さと仕事の激務が釣り合っていないことにあると思っています。
給料の毎年アップの約束または年功序列
激務は避けることができませんが、給与は上げることができると思います。
徐々に毎年あがるなどすれば、会社に対して希望が持てるので、定着していくと思います。
筆記と面接の制度に関しては毎年チャンスがあるという考え方もできるので、残しておいていいと思うのですが、人事評価はもう少し公平につけたほうがいいと思います。
国も推奨している副業の解禁。
今もあるかどうかは知りませんが、小売業全体がこの問題とは切っても切り離せない問題がサービス残業なので完全に消滅はしていないという前提で話をしています。
先になぜサービス残業があるのかというと
- 残業をつけると上から怒られる。
- 残業をつけないと上司からの評価がいい。
- 激務で時間内に仕事が終わらない。
大きくはこの三つですが、他にも三六協定というものがあって、30時間以上を超えると理由書?(始末書?)を書かされますし、厳重に注意されます。
また、仕事をもっとしたいという人にとっては残業禁止ほどつらいこともありません。
しかし、固定残業はG5以上で管理職だけですので、働きたければ勉強して資格をあげるいがいに方法がありません。
上に上がる方法は一つしかないので、商売が得意でも勉強が苦手な人は会社人生詰みとなります。
副業解禁にすれば、だれも得しないサービス残業なんてなくなります。
解禁すればサービス残業問題は解決するのですが、いまだに解禁しないのは、正直言えば理由がわかりません。
別に解禁しなくても、他の店のイオン系列でなら掛け持ちOKとかにすればいいのですが、それもしない状態です。
副業による長時間労働が問題視しているのかなと思うのですが、それなら全員固定残業にすればいいのですが、それもしないので、不思議で仕方ありません。
また、イオンに限った話でもないのですが、正社員、コミュニティ社員は100人、1000人という話ではありません。労働力不足の日本で労働力を独り占めするような雇い方はいかがなものかと思います。LGBTやダイバーシティ等の多様性推し進めている企業なのに副業は認めないというのは多様性と人の可能性をめっちゃ否定するやんとしか言いようがありません。
イオンで勤めてよかったこと
とはいえ、私がイオンに勤めてよかったなと思うこともいくつかあります。
イオンの数字の勉強である程度の商業経営の知識が身に付いた
イオンには筆記試験をパスしないと昇格できない仕組みがあるので、嫌でもに身についていくようになります。
その内容は基本的な物ばかりですし、知らなくても現場では問題ないのですが、知ることで戦略の幅が広がったり、上司を説得するのに数字の根拠というのは役に立ちます。
これに関して本当に感謝しています。
人の使い方が分かるようになった
大きな店のマネージャーや課長になると、指示を飛ばさないといけません。
そうなると、年上にも年下にも同じ内容の指示を出さないといけないのですが、実際に必要なのは中身が分かりやすいかとか効率がいいかとかの理屈ではなく、根回しや、普段からの関係こそが重要だと理解することができました。
教育の仕方が分かるようになった
イオンでは教育は9割現場のOJTです。人事は現場に丸投げという結構ぶっきらぼうなことをするので、マネージャー次第では何も教わらない使えない部下が誕生したりするのですが、逆に言えば、特に決まりもないので、一年でマネージャーと同じくらいできる人間も誕生したりします。いわゆる上司ガチャではあるのですが、教える側からすれば、教育をするという経験を自由にさせてもらえるので、教育するというスキルがどんどん積みあがります。
まとめ
イオンで正社員になるなら自分のライフスタイルを考慮しないと厳しい
イオンは資格で給料が変わるので、勉強が苦手なら入らない方がいい
イオンの正社員という肩書は思ったより使える(住宅ローンの借り入れなど)
イオンは実力主義ではあるが、上司ガチャで結構左右される
多様性は推し進めているが可能性は否定する(副業は禁止
イオンに入って良かったなと思う時もありましたが、私のライフスタイルには残念ながら合わなかったので辞めました。
しかし、女性の管理職を増やそうとしたり、女性社会進出を応援する本当にいい会社だと思います。
ちなみにイオンに入社すると課題図書をや数字の勉強をしないといけません。
ですが、それに取り組む前に私がおすすめする本を読むのをおすすめします。
とくにスーパーの計数に関しては読むべきかなと思います。
少ない給料でお金出してまたいらない本買うのが嫌だという気持ちもわかりますので、
Kindle Unlimitedに登録すれば読めるように最後にKindle Unlimitedのリンクも貼っています。
イオンの昇格試験になかなか合格しないとかでいうなら騙されたと思って登録して読んでみてください。会社からもらう教材だけではこれまで理解できなかった事が理解できるようになりますよ。